── ジップスタイルズ・橋本代表に聞く、“片付く家”をつくるための収納設計
インタビュアー:
家づくりの打ち合わせでは、「収納はできるだけ多くしてください」という要望をよく聞きますよね。
やっぱり収納は、多ければ多いほど便利なのでしょうか?
橋本:
実は、「収納は多ければいい」というわけではありません。
もちろん収納量は大切ですが、それ以上に重要なのは「どこに、何を収納するか」です。
収納スペースがたくさんあっても、使いたい場所から遠かったり、何を入れるか決まっていなかったりすると、結局使いにくくなってしまいます。
大切なのは「量」よりも「場所」
インタビュアー:
では、使いやすい収納をつくるためには、何を意識すればいいのでしょうか?
橋本:
まずは、家族の生活動線を考えることですね。
例えば、帰宅してから上着やカバンをどこに置くのか。
洗濯した服をどこでたたんで、どこにしまうのか。買い物から帰ってきた食品を、どこに収納するのか。
こうした毎日の行動に合わせて収納を配置することが大切です。
インタビュアー:
収納を先に考えるのではなく、「暮らし方」から考えるんですね。
橋本:
そうです。
例えば、玄関に土間収納をつくるなら、靴だけでなく、ベビーカーやアウトドア用品、子どもの外遊び道具など、何を置くのかをイメージしておく。
キッチンの近くなら、食品ストックや調理器具を収納するパントリーが便利です。
「収納があるから何かを入れる」のではなく、「ここで使うものを、ここにしまう」という考え方が重要ですね。
収納が多すぎると、家が狭くなることも?
インタビュアー:
収納を増やしすぎることで、デメリットが出ることもあるのでしょうか?
橋本:
ありますね。
収納を増やせば、その分だけ居住スペースは小さくなります。
リビングを広くしたいのに、収納を増やしすぎて圧迫感が出てしまった、ということもあります。
また、収納スペースが多いと、必要以上に物を溜め込んでしまうこともあります。
だからこそ、「とりあえず収納をつくる」という考え方ではなく、本当に必要な場所に、必要な量だけ計画することが大切です。
「片付けやすさ」は家族によって違う
インタビュアー:
収納計画は、家族構成によっても変わってきそうですね。
橋本:
その通りです。
小さなお子さんがいるご家庭なら、おもちゃやランドセル、学校用品などを自分で片付けられる場所につくることも大切です。
一方で、共働きのご夫婦なら、洗濯から収納までの動線を短くすることで、毎日の家事がぐっとラクになります。
収納は、建物の間取りだけで考えるものではなく、「誰が、いつ、何を使うか」まで考えることで使いやすくなります。
将来の暮らしも見据えた収納計画を
インタビュアー:
今の生活だけを考えるのではなく、将来のことも考えた方がいいのでしょうか?
橋本:
はい。家族の暮らしは、住み始めてから変わっていきます。
お子さんが成長すれば必要なものも変わりますし、趣味が増えることもあるでしょう。
ただ、将来のために最初からすべての収納を増やす必要はありません。
例えば、将来的に収納家具を置けるスペースを考えておくなど、「変化に対応できる余白」をつくっておくことも大切です。
インタビュアー:
収納も、暮らしの変化に合わせられるようにしておくんですね。
橋本:
そうですね。家は完成した瞬間がゴールではありませんから。
長く暮らしていく中で、「この場所にはこれを収納する」という使い方も変わっていきます。
だからこそ、使い方を限定しすぎない収納も、場合によっては便利なんです。
建築士が考える「本当に暮らしやすい収納」とは?
インタビュアー:
最後に、橋本さんが考える「暮らしやすい家の収納」とは、どんな収納でしょうか?
橋本:
「意識しなくても片付けられる収納」だと思います。
使った場所の近くに収納があって、家族みんなが無理なく元の場所に戻せる。
そんな仕組みができていると、頑張って片付けなくても、自然と家の中が整っていきます。
収納の数や広さだけを追い求めるのではなく、「自分たちはどんな暮らしをしているのか」をまず考える。
それが、後悔しない収納計画の第一歩だと思います。
収納は「多さ」ではなく「暮らしに合っているか」
インタビュアー:
収納は多ければ安心だと思っていましたが、実は生活動線や家族の暮らし方が大切なんですね。
橋本:
そうですね。
収納は、家をきれいに見せるためだけのものではありません。
毎日の家事をラクにしたり、家族が快適に暮らしたりするための大切な仕組みです。
家づくりでは、間取りやデザインだけでなく、「どこで何を使い、どこにしまうのか」まで考えてみてください。
収納計画がしっかりしていると、住み始めてからの暮らしやすさが大きく変わりますよ。
<暮らしやすい収納計画のポイント>
収納の広さより「使う場所の近く」を意識する
家族の生活動線に合わせて配置する
収納する物を具体的にイメージする
子どもの成長やライフスタイルの変化も考える
「頑張らなくても片付く仕組み」をつくる
収納は、ただ物をしまう場所ではありません。毎日の暮らしを整え、家族が心地よく過ごすための大切な設計の一部なのです。
※この記事は、三重県津市の住宅会社「ジップスタイルズ」橋本代表へのインタビューをもとに構成しています。
