── ジップスタイルズ・橋本代表に聞く、冬も夏も快適に暮らせる家のつくり方

インタビュアー:
「断熱性能の高い家にしたい」という方は多いと思います。
一方で、断熱材や窓、気密性など、いろいろな話があって、結局どこを重視すればいいのか分からないという声もあります。
橋本さん、建築士の視点から見て、断熱の決め手は何なのでしょうか?

橋本:
一つだけを見ればいいわけではありません。
断熱材だけ、窓だけを良くすればいいという話ではなく、「家全体を一つの性能として考えること」が一番大切です。

断熱材の性能を高めても、窓から熱が逃げてしまえば十分な効果を発揮できません。
逆に窓だけ高性能にしても、壁や天井などの断熱が不十分なら、家全体としての快適性は高まりません。

インタビュアー:
なるほど。「断熱材は何を使っていますか?」だけでは判断できないということですね。

橋本:
そうですね。家の断熱を考えるときは、まず外皮全体でどれくらい熱を伝えにくくできているかを見ることが重要です。

壁・屋根・床、そして窓や玄関ドアなど、家を包んでいる部分を総合的に考える。
住宅の断熱性能を数値で確認する場合は、UA値なども一つの目安になります。

インタビュアー:
その中でも「窓が重要」という話をよく聞きます。

橋本:
はい。窓は、家の中と外をつなぐ大きな開口部です。

冬は暖房で暖めた熱が外へ逃げやすく、夏は外からの日射熱が入ってきます。
そのため、断熱性能を考えるうえで窓は非常に重要です。

ただし、窓を小さくすればいいという話でもありません。
大きな窓から光や風、景色を取り込むことも、暮らしの豊かさにつながります。

だからこそ、「性能」と「設計」の両方から窓を考えることが大切なんです。

インタビュアー:
ジップスタイルズは「強く、美しい家」をコンセプトにされていますが、断熱もデザインと両立させるということですね。

橋本:
そうです。

例えば「大きな窓のある開放的なLDKにしたい」というご要望があったとしても、ただ窓を大きくするだけではありません。

どの方向に窓を設けるのか、庇や外部の設計をどうするのか、窓の性能はどうするのか。
そういったことを総合的に考えて、快適性とデザイン性を両立させていきます。

インタビュアー:
断熱と一緒に「気密性」についても聞くことがあります。これはどんな関係があるのでしょうか?

橋本:
断熱と気密はセットで考えることが大切です。

どれだけ断熱材を入れても、家にすき間が多ければ、そこから空気が出入りしてしまいます。

だから、断熱性能をきちんと発揮させるためには、家全体の気密性にも配慮することが重要です。

「断熱材のスペック」だけではなく、施工精度まで含めて考える必要がありますね。

インタビュアー:
つまり、カタログの数字だけで住宅の断熱性能を判断するのは難しいんですね。

橋本:
そう思います。

もちろん性能値は重要ですが、それと同時に「その性能をどう実現しているか」を確認してほしい。

そして、実際に住んだときにどう感じるのかも大切です。
冬の朝に寒くないか、夏にエアコンが効きやすいか、家の中で温度差が大きくないか。

住宅性能は、最終的には毎日の暮らしの快適性につながってこそ意味があると思っています。

インタビュアー:
最後に、これから家づくりをする方に「断熱について、ここだけは覚えておいてほしい」というポイントを教えてください。

橋本:
「断熱材の種類だけで決めない」ということですね。

断熱・窓・気密・日射・施工・換気。
これらを一つの家としてバランスよく考えることが大切です。

そして、初期費用だけではなく、長く暮らしたときの光熱費や快適性まで考えてみてください。

家は何十年も暮らすものですから、「建てるときにどれだけ安くできるか」だけではなく、
「建てた後、どれだけ快適に暮らせるか」という視点を持ってほしいですね。

※この記事は、三重県津市の住宅会社「ジップスタイルズ」橋本代表へのインタビューをもとに構成しています。